水の気持ちと意気込み


猛暑、うだる様な暑さ、
外では強い日差し、中では溜まった熱気
海、プールや川などを見れば飛び込みたくなる
衝動に駆られる様な暑さの中

クラブ活動に精を出す少年達の声が聞こえる中
水の中を動く音が響いていた。

地頂点にいた太陽が少しだけずれた
午後3時

運動場から声が聞こえる中、体育館の中では
休憩に入り熱気から逃げる様に中から人が出てきた
少年達が話しながら出て行く中、水の音を聞きつけた少年が
音の元に近づいて行くと、独り、水の中で泳いでいる風景が
目に入ってきた。

一回、腕を回し水を掻き、二回目も同様に水の中を進んで行く
だろうと、思っていた
三回目漕ぎに入った時、いきなり動きが乱れだし、
もがく様に立ち上がり顔についている余分な水分を両手で取り
苦しそうに咳をしている姿を見て、フェンスごしから見てみると
見知った少女だった。

!!こげん所でなんばしちょうとね」

声につられ横を向き、声の主を確認すると
少女も驚きに声を上げ、少年の名前を呼んだ。

「昭栄君!?」

少しでも近くに行こうと、は水の中から出、プールサイドを
歩き、昭栄がいるフェンスに近寄り

「今日ね、新美先生に
 『風祭!このまま泳げないのはツマラないだろう!!
 夏休み中に泳げる様に俺と一緒に頑張ろう!!な!』
 て、言われて頑張ってるんだけど・・・・・」

「そう言えば新美先生の姿が見えないちゃねぇ」

俺と一緒に!という事なので当然いる
だろうと周りを探してみるがどこにも姿はなかった。

「うん。サッカー部の様子を見に行ってるの」

「じゃぁ、1人でがんばっとるけんねぇ」

「でも、全然泳げないの・・・」

覇気のない声で言葉を紡ぐと

「じゃあ、俺が教えるちゃ!今からそっちに行くけん
 待っとるとね。イイちゃね!」

そういうと、の返事も聞かずフェンスから離れると
走って入り口から入ってくるとの手を引っ張って
プールの中へと入っていった。

「昭栄君!服を着た入ちゃって大丈夫なの?」

「大丈夫ちゃ!」

「き、着替えは?」

「どうにかなるたい!」

ならない・・・のでは?
なんて思っていながらも引っ張られ泳ぐ様に言われ
両手を昭栄に引っ張られ体は水に浮いている
状態で端から端まで進んで行くと

!今度はバタ足をして端まで進んで行くちゃよ」

「バタ足?」

「泳いでいるみたいに足を上下に動かすとよ」

「う・うん・・・・・手離さないでね」

「俺を信じるとね」

不安を隠しきれないの言葉に、笑顔で頷き
再び進み出すとも昭栄に言われている通りに
両足を上下に動かし水の中を進む

何往復かすると、昭栄が立ち止まりを立たせると

「今度は顔を付けて見るとね」

「水に沈めるの?」

「おう!」

「息つぎは?」

「適当やね」

断ろうとなんとか言葉を探すが考えるのに時間が
かかりすぎ昭栄はの手を引き歩き出し始め
は覚悟を決め顔を水に付け進んで行くが
息継ぎが出来ない為、直ぐに息苦しくなり
昭栄の動きを無理やり止め、咳き込みながら
立ち上がった。

!!大丈夫とね!?」

立ち上がり、激しく咳き込み慌てての背中を
擦りながらの顔を見ると目には涙を溜めながら
必死になって息を整えるのに必死で昭栄の言葉に
頷いているだけであった。

「すまんかった。!」

ただ、咳こんで頷くしか出来ない
オロオロと慌てふためき
ただ、謝るしか出来ない昭栄の
大きな体が小さく見え、
より年下に見え始め無意識には手を伸ばし
昭栄の頭を撫ぜた

?」

涙目のに頭を撫ぜられた昭栄は
困惑し名前を呼ぶと

「大丈夫だから心配しないで。昭栄君は何も悪くないんだし」

咳き込みが無くなり、無理して咳き込んだ為に痛め
ノドを使い声を出すと
昭栄もの声と少し和らいだ表情を見て安心
先ほどの小さく見えた昭栄の姿も元の大きな体に
戻った様で、も安心し
お互い目を合わせ笑い合った。

「息継ぎって難しい事だよねぇ」

「そんなことないちゃよ。コツさえ掴めば簡単に出来るとね」

「コツかぁ・・・」

「練習あるのみ!」

「そうだね!がんばるよ」

昭栄に励まされやる気を取り戻した
再度挑戦するが、始めと同じく息継ぎ出来ず
咳をし息を整えてからチャレンジをするものの
やはり、息継ぎが出来ず咳き込みながらも
何度も繰り返し練習をするが
相手をしていた昭栄の方がの体を心配し始め

、そげん無理せんでも良かよ。
 泳げんくたって大丈夫たい」

今日はコレまでにしょう

と、どこかで言いたいのかもしれない
昭栄に無理をして頼む事も出来ず

「そうだよね」

頷き、昭栄の顔を見ると、ホッと安心した
表情を見せると、昭栄はの手を引っ張り
スタート台のあるとことまで引っ張ると

「練習に付き合ってくれてありがとう」

笑顔で礼を言うと、少し日に焼けた顔に
赤みがさし

「礼なんて良か!俺が勝手にした事ちゃ
 ばってん、は何も気にせんで良かよ」

照れているのか、さっきより大きな声で言葉を返すが

「今日はクラブがあったんでしょ?大丈夫だったの?」

のフッと頭に浮かんだ疑問を言葉にした瞬間
赤みで熱を帯びていた顔が青くなり
握られていたの手を離し

「ばり忘れとった!!!
 !俺体育館に戻るけん。もそろそろ上がった方が良かよ」

先ほどの手を握っていた昭栄の両手は
自分の頭を押さえ、叫び、慌てて水の中から出ると
体についている水を払う事もせず
体育館に向って全力疾走で帰っていった。

「クラブ中だったんだ・・・・・・」

水の中に取り残されたは誰もいない空間に声を出す。

「昭栄君に悪い事しちゃったなぁ・・・・
 今度会った時にきちんとお礼を言はなきゃね」

折角、昭栄君が教えてくれたんだからもう少し練習していこうかなぁ

返ってくる言葉はなく、の言葉は空と水の中に消え
の体も水の中に入ってしまった。

それから、何度も練習をするものの
息継ぎが上手く出来ず、息と共に入ってくる水に
パニックになり立ち上がり咳き込むと
体全体を使い息を整えるが
太陽の色が変わり、時間切れとなってしまった・・・・

仕方なく薬の混じった水を洗い流し
更衣室に入り水着から制服に着替え
いつもなら一と帰っている道を1人で歩いて帰り
誰もいない家に入り両親の帰りを待ち
そろったら夕食を食べ、何時も通り凄し
窓越しから一と話をし、将から届いた手紙を読み終ると
電気を消し眠りに入った。

明日も学校に行き練習をしよう!
頑張っている将に負けない様に、自分もがんばって
明日こそは!!